ニムロッド 吉原昌宏作品集２ 著：吉原昌宏

ニムロッド

著者の作品集で他にもいろいろと出ているようですが、今回はこの１冊だけをGETできた。表題作ほか、似たようなガンアクション漫画がもう１シリーズ収録されている。

まず「ニムロッド」は…イギリスのIRAに潜入していたCIAエージェントの息子を、フリーランスの女工作員が助けて、国境を越えようとするって話。なんか、園田健一のガンスミスキャッツみたいな作品だったね。３話で１エピソード。

で、もう１作「オホートニク」という、ロシア人の女スナイパーが活躍する話があるんだけど、こちらは全３話で２エピソード収録。１番目はマフィアのボスからの依頼で、戦火に巻き込まれた孫娘の仇討をするって話。それと…１で描かれた、女スナイパーのその後の活躍で、フランスに雇われ、細菌兵器を盗んだ悪党をぶっ倒す話。

映画にもなったスティーヴン・ハンターの極大射程に似ているなぁって思ったら、作者も意識していたようで、あとがきで、やっぱり名前が出ていました。

あとに続かない、短い作品なので気軽に、適度に楽しめる作品。アクションシーンや銃器描写など丁寧で自分は好きですね。

お薦め度：★★

虹ヶ原ホログラフ 著：浅野いにお

虹ヶ原ホログラフ

前から気になっていた浅野いにおを初めてちゃんと読んでみた。ブックオフとかで、ほかの作品をチラっと立ち読みしたことあるんだけど丁寧な画がいいなぁって思っていた。この作品は１巻で完結…雑誌連載された作品に、加筆訂正を行ったものだそうだ。

虹ヶ原という名の田舎町…かつてその土地の小学校で同級生だった若者たちが、何年か経ちお互いにすれ違って行く様子…。トンネルの怪物、蝶の大量発生、家庭の秘密…現在と過去が錯綜しながら、一本に繋がっていく…。

普通の漫画と一線を画す内容だねこれ…凄い。なんか小説とかさ、映像作品でも見てみたい気がする。とある田舎町を舞台にした群像劇なんだけど、さらに現在と過去が錯綜する。だから出だしの方は、いったい何が起きているのやら、さっぱりわからんのよ。

ただ…心の奥底を抉られるような、気持ち悪さ。それとは正反対に懐かしさにも似た、不思議な感覚が読んでいる最中に感じられる。それらが一体になって…どんどんとページをめくりたくなる衝動に駆られるんだけど、次第に、意味不明な物語が繋がる気持ちよさが味わえて、そこが気持ちいい。

ほんと、ザ・プレイヤーとかショート・カッツとか、ロバート・アルトマンの映画みたい…ブラックでヘヴィな感じもそっくり。

これは面白かった！今度、この作者の他の作品にも手を出してみようと思う。さっそく、ブックオフで探さなきゃ（笑）

お薦め度：★★★

ＮｉＴＲＯ ＧｉＲＬ ニトロガール 著：針玉ヒロキ

ニトロガール

可愛い女の子が銃を持ってるのに、ちょびっと惹かれて買ってしまいましたが…う～ん、ちょっと意味不明というか内容が薄いというか…。もちろん、初めて読む漫画家さん。

１４歳の少年・芽生新人（メオ・ニュート）、失恋した直後に、クラスに美少女転校生が！？その転校生から屋上に呼び出されて…いい雰囲気になっていたのだが、なんとその転校生・光月アナは、月からニュートを暗殺にしやってきた、人工人間爆弾（なんだそりゃ～って感じ）だった。その暗殺を防ぐため、今度は月警察の刑事アルが現れる！？

月の人間（美少女）が、地球にやってきました…でも色々とゴタゴタがあって、主人公と同居する羽目になりました～って感じのＳＦコメディアクション。エロ要素もちょっぴりあり。

確かに萌え萌え～な画は魅力的なんだが、「鉄腕バーディー」と「涼宮ハルヒ」の設定のいいとこをパクったみたいなタイプの作品で、そんなに新鮮味のあるもんでもないし…１巻で終わっちゃうくらいの物語なんで、話に深みもありません。

同人誌だとか、雑誌イラスト、ライノベ挿絵なんかで活躍している人だそうで…ほんと、女の子の絵だけは可愛いです。お好きな方はどうぞ～レベルですね。自分はそんなにハマれなかった。

元々の所有者の人が、とらのあなで購入したらしく、著者描き下ろしのメッセージペーパーがついてました。これって価値あるのかなぁ？

お薦め度：★

ナデプロ！！ 著：氷室涼二 原案：元氣プロジェクト

ナデプロ！！（1）

声優業界の内幕ものを題材にしたギャグコメディ…やり手だが、何やら怪しい雰囲気を醸し出すマネージャーに振り回される三人の新人声優の話。もともとは、ドラマCDだったらしいのだが、そのキャラクターデザインをした人が、自分でコミック化したのだそうだ。単行本は１巻しか出てないけど…新書館のウンポコって雑誌で、連載は続いてるそうだ（１巻発刊時の話）。

声優事務所の「ナデシコプロダクション」に所属する…新人声優の人見克也、南雲健太、甲斐由直の三人は、ある人物を恐れていた。それはマネージャーの樋口龍。彼のおかげで、仕事はたくさん回ってくるが…人使いはかなり荒く、そのくせ自分はエロゲー愛好家で、仕事の合間に秋葉通い…。さらに、声優たちのしらないところで、デスクの八十科悠と、何かを企んでいる様子だ…。

最初に、“声優事務所が監修してるけど、フィクションです”と断りがきがあったが、確かに内容はギャグ優先で、メチャクチャ。だけど、時たま妙にリアルな声優事情が顔をのぞかしたりするから、きっとコレは本当にあるんネタなんだろうなぁって思いながら読んでしまいますね。

特に、BLの受専門声優と化してしまった人見が苦悩する姿など、実際のあの声優のお姿や声を連想してしまう（ドラマCDは誰がやってたんでしょうかね～？？）。それとか、年齢をサバよんでる（女の）アイドル声優を馬鹿にしてみたりね…けっこうブラックで笑えます。

こういうネタをもっとドンドン出し、内幕ものとして…業界の恥部をどんどんさらし、声優業界に夢を抱いている良い子のお子様たちがギャフンとなるような展開になれば面白いのになぁ…ところどころお化けみたいなのが出てきたり、怪しげな呪術みたいなのが出てきたり、ファンタジーっぽさが顔をのぞかすんだよね～。それがちょっと、自分の好みじゃないっす。

１巻はジャーマネ樋口の企みが始動し始めたところで終わり。いったい、何が起きているのだろうか？ちょっと気になるところですね～。

お薦め度：★★

のどかｎｏｂｏｄｙ 原作：田山りく 画：及川雅史

のどかnobody（1）

のどかnobody（2）

とりあえず２巻までしか出てないみたい。なんか中露半端なんで、続きがないのかネットで検索をかけてみたら、雑誌連載では他にも何話か描かれてるらしいんだけど、未単行本化なんだとか。月刊ドラゴンエイジ掲載で、角川書店の発行…掲載雑誌が、もう少し大人向けのものだったら（小学館のスピリッツとか、講談社のモーニングあたり？）、知名度がアップしそうだけど。

父親の後を継いで、建築家になった若手の女性天才建築家・長瀬のどかと、そのアシスタントで、食い気ばかりの天然ボケキャラ、ミケこと三井ケイが…業績不振などで悩む温泉旅館中心などを、突飛なアイデアで改築！

古谷一行が出てこなくても（混浴露天風呂殺人事件）、温泉を舞台に物語が成立するんですね（笑）

“ビフォーアフター”って言葉が流行った頃かな？若手の女性建築家が、温泉の改築ばかり手がけるんだけど…必ずヒットにつながる。ただ、時々…アンハッピーエンド系の話も混ざっていたりするのはいいね。さりげなく日本の温泉事情や豆知識が披露されてる。

意味深に語られるミケの正体が知りたいんですけど…あのボケキャラは本当は何者なの？

↓ちなみに、角川の公式サイトで第一話の試し読みか可です↓
http://www.kadokawa.co.jp/sp/200501-01/index2.html

お薦め度：★★

日本ふるさと沈没 著：鶴田謙二 ほか 原作：小松左京「日本沈没」

日本ふるさと沈没

昨年、リメイク版映画「日本沈没」の公開に合わせて、有名漫画家のコラボレーションで描かれた、ぶっちゃけほとんどくだらない“パロディ”ばかりのアンソロジー集ですね。定価だと1200円（税抜）もする大判サイズ。

参加漫画家：吾妻ひでお　あさりよしとお　唐沢なおき　遠藤浩輝　伊藤伸平　西島大介　鶴田謙二　恋緒みなと　米村考一郎　ひさうちみちお　トニーたけざき　空ヲ　いしいひさいち　寺田克也　TONO　宮尾岳　安永航一郎　ヒロモト森一　幸田朋弘　ロマのフ比嘉　とり・みき

カバーイラストも担当している鶴田謙二の作品が、一番読みごたえもあり…オリジナル映画版「日本沈没」のパロディになっていて、お気に入りですね～。わかりやすくて笑えたし、ちゃんと物語にもなっていた。

あとはトニーたけざき、安永航一郎あたりはもともと好きな漫画家だけに読めてうれしい。名前は知ってるけど、中にはあったが、初めて読む人の作品も多々あり。お気に入り漫画家の新規開拓なんかにも利用できるのでは？

お薦め度：★★

ちなみに本家はこちらです

日本沈没　スペシャル・コレクターズ・エデ

通常価格 7,140円 (税込) ⇒特価3,570円 (税込)